蠟人形とは・・

 

 

 

人は自分の願望や理想の姿を自分の顔にしようと世間発行の身分証獲得に生涯をかける。しかし世間の評価との間には少なからずギャップがある。中には自身にも分からない漠然としたものもある。それらのギャップは言葉、文章等でおぎなわれ、

———時には肖像画、ポートレート等に於いて、それらしい表情でポーズをとり、理想の姿を表現し再度他者の承認を求める。「これが私です」と。そしてその理想の姿を立体化し、生命を吹き込きこんだものが蠟人形です。そこには本人の意識外の『ナニカ』も表現される。

———造形のメタファーだ。

 

 

 

夏目漱石の蠟人形(2014年制作)



   

対話する蠟人形

 

 

 

 蠟人形への鑑賞者の評論家等を含まない無媒介の自由な接近により、時空を超えて、自分だけに話しかけられている様な気分になり、思わず引き込まれて相互的な深い交流になり、ふと気が付くと自己分析している自分がいる。「コイツなに格好つけているのかネェ?オットイケナイ、私もだ」。


太宰治の蠟人形(2013年制作)